月: 2025年11月の記事
事業者間トラブルについて・ご注意ください!
~取引かけこみ寺に相談のあった事例から~
取引かけこみ寺には、受託取引や一般商取引に関する困り事等の相談が寄せられますが、最近、様々なトラブル事案の相談が増えてきています。以下はそれらの例です。
①無料求人広告
~ハローワーク等の求人広告を見て、勧誘の電話が架かってくることがほとんど。その謳い文句は、キャンペーン期間中なので、3週間無料の求人広告を出してみないか云々。その際、無料期間終了後に有料掲載に自動更新されることを説明しないか、そのことが申込書のどこかに小さい文字で書かれていたりはするが、わかりにくくなっている。また、申込者が期間満了日を失念することも多い。事前に解約しようとしても、電話等が繋がらなかったり、所定の様式に依らなければ受け付けないといったことが多い。後日、有料掲載に移行したとして掲載料(20~40万円程度)が請求され、対応に苦慮することになる。※求人広告は勧誘元のサイトに掲載されるが、求人効果はない。
②SEO(検索エンジン最適化)、MEO(マップ検索エンジン最適化)
~ホームページ等を見て、SEO対策、MEO対策をしないかと勧誘してくる。何らかの方法でこれらをやったからといって、必ずしも検索順位が上がるわけではない。言葉巧みにメリットばかりを強調されると、集客対策は必須であることから、申込みをしてしまう。悪質業者に引っかかった場合は、効果が出ないまま、数百万円を支払うことになる。
③ホームページ作成
~ホームページを有しない事業者の元につくらないかとの勧誘がある。悪質な場合は、その仕様等は示さず、通信関連機器等を抱き合わせる形で購入させようとする。つまりは、通信関連機器等の売りつけが狙いであるが、一方的な説明を聞き、申込書にサインしてしまうケースがある。
④POS(販売時点情報管理)システム
~日々の売上や顧客管理に便利。ところが、必要としない高額な周辺機器までも売りつけようとする。やはり一方的な説明を聞き、申込書にサインしてしまうケースがある。
⑤キャッシュバック
~モデル店として取り上げたい、或いは集客に効果があるなど言ってビジネスマッチングサイト等へ登録しないかとの勧誘がある。代理店等とのズームによるやりとりだけで、利用料金が後にキャッシュバックされるとの話を信じ、契約内容を確認しないまま申込みをするケースが多々ある。しかしながら、キャッシュバックことはどこにも記されていなかったり、記されていても様々な条件をクリアしなければならないようになっていたりする。なお、この手法は光回線の転用勧誘等にもよく使われ、不要なプロバイダとの契約を結ばされたりする。
⑥補助金申請・コンサルティング
~中小企業向け補助金の申請手続代行等をするので、コンサル契約を結ばないかとの勧誘がある。補助金は必ず取れると約束されているわけではなく、高額なコンサル料金をただ支払い続けるケースがある。SNSを通じてコンサルを結ばないかとの誘いがあるが、一方的な説明を聞いただけで、費用対効果を十分検討せず契約してしまい、後にトラブルになるケースがある。
⑦電子ブレーカー等
~飛び込み営業で訪れ、電子ブレーカーに付け替えれば電気代が大幅に節約できる、などと言って勧誘する。その場で申込契約を取り、極端な場合は、その日のうちに取り替え工事までやってしまう。リース契約、若しくはクレジット契約で代金を支払うことになるが、電子ブレーカーは高額であり、かつ耐用年数が短いため、元が取れるとは 限らない。
⑧ファクタリング
~売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス。法的には、債権の売買(債権譲渡)契約である。近年、ファクタリングを装った高金利の貸付を行うヤミ金融業者の存在が確認されている。(偽装ファクタリング)債権の買戻しを強要、債権の売買ではなく貸付を行う、債権の買取額が著しく低額といった手口で、高額な手数料等支払うと、かえって資金繰りが悪化したりする。
【原因】
・申込・契約書の内容を十分確認せず、即決的に署名捺印してしまう。
・キャンペーン期間中だから無料若しくは低額、或いは優良事業所としてモニターになって欲しいなどといった甘い勧誘言葉や営業担当の人柄を信じてしまう。(相手はその手のプロなのに・・・) etc.
【留意点】
・この種の悪質商法等は、情報・判断力や交渉力が比較的弱い個人事業主がターゲットに されることが多い。申込書に屋号を記入させた後、事業者なので消費者保護関係法は適用されず、クーリングオフできないなどと言われる。
・高額な機器等の導入等に際しては、 リース契約やクレジット契約の利用を勧められることが多い。これだと月払いとなって経費の負担感が少ないので、事業者は受け入れやすい。ただし、これらの契約が成立してしまうと、リース会社やクレジットカード会社には対抗する術がなく、途中解約はできない。 解約するとすれば、残金を一括払いしなければならないことになる。
・なお、上記に記したのは、営業行為等に問題があったと思われる事例であり、きちんとした事業者であれば、費用対効果や契約上の重要事項等を丁寧に説明するので、トラブルになることは少ない。
【訪問営業等への対応について】
・訪問や電話での勧誘があった場合には、その必要性はもちろん、費用対効果や申込・契約内容等を十分検討・確認することが大切です。なので、その場で申込・契約するのは避けた方が無難です。
・少しでも不安を感じたら、問題が大きくならないうちに、気軽に相談していただくことが肝要です。そのような相談先として、商工会議所(0983-43-2111)や取引かけこみ寺(0120-418-618)があります。
なお、法的判断を求めたい場合には、弁護士が相談対応してくれるひまわりほっとダイヤル(0570-001-240)や法テラス(0570-078-374)などがあります。
※ ひまわりほっとダイヤルは有料です。また、法テラスは収入や資産等の利用条件があります。
投稿者:西都商工会議所-阿萬